第3回 - 森田一義(タモリ)さん (タレント) - 1999-07-20
長く続いているバラエティー番組って、なかなかありませんよね。ひょうきん族もドリフもあれだけ人気あったのに結局終わってしまいました。そんな中で「笑っていいとも」は17年続いているんです。そのうち僕は14年出演させてもらってます。
今回の無学の会は、なぜそんなに長く続くのか、一から司会のタモリさんを研究してみようと思います。

 タモリさんは今までにいくつもアルバムを発売している。なかでも「ハナモゲラ相撲中継」ってのがすごい!外国人が初めて日本語を聞いたら、こんな感じに聞こえるだろうというのを表現したらしんですが、まあこれが細かい!館内の声や雰囲気を細かいところまで再現して、全部タモリさんの声で、行事やラジオアナウンス、解説まで一人でこなしているんですよ。"本日の取り組み"の勝敗のアナウンスでは、名前や決まり手が、全て異なる意味不明なそれらしい言葉でアナウンスされていて、ほんま頭おかしいんちゃうか?と思います。

 他にも、一つの旋律がいろいろな音楽に波及しているという設定で、世界中の音楽を作っていて、シャンソン、韓国民謡、ニューミュージックなど、それぞれの曲はそれらしい雰囲気を持っているけど、全てでたらめな歌詞で歌ってるんです。
ものすっごい人を馬鹿にしてるんだけど、雰囲気は完璧!井上揚水は『中国民謡「熊猫深山」』を気に入っていて、一時期ずっと車の中で聞いていたらしい。パフィーのデビュー曲に「熊猫深山」と名付けたところ、「仮にも女の子のデビュー曲なんだから」と反対され、断念したらしい。
 タモリさん曰く「こういう意味の通じない言葉の羅列が好き」やそうなんです。
確かに「笑っていいとも」でもよくやってますよね。当時はタモリさんは暇だったし、こんなことばかりしていた。さだまさしのパロディー『ニュー・ミュージック「鰯雲(いわしぐも)」BYさるまたし』というレコードを出して、発禁になったこともあったそうです。

 そのレコードをよくみると、関わっているスタッフの人たちがまたすごい!写真家の浅井慎平さんや赤塚不二夫さんらが名をつらねている。タモリさんにはお笑い以外の人たち、ミュージシャンや役者などが進んで近寄ってくるんです。これは他のお笑いの人と違って、近づいても自分にお笑いを要求されないから安心するんだろう思います。

 タモリさんはボクが面白いことしようとすると、その直前にいらんことして邪魔をするんです。CM前に話を振ったり、周りの若手なんかはあたふたするんです。「なんでそんないらんことするん?」と思ってたんです。そしたらタモリさんは「放っておいても絶対笑わせられるのは分かってる。みんな笑わせるセオリーを持ってるから、そこでわざと無理難題を吹っかけてみると、次の笑いを求めようとして新鮮なものが見られる。これが、マンネリ化を防いでる」と答えてくれたんです。慣れちゃうのが一番いけないというんですね。テレビというのはのぞき穴みたいなものだから、こうしたら笑いが取れるだろうというセオリー通りのものは面白くない。テレビは完成された芸を見せるのに適さないです。完成された芸というのは時間と空間を共有して、生で見せるものですから。テレビはセオリーにないことが起こった方が面白い。だからボクはセオリーを崩そうと思います。そういうことを続けると、相手も自分の邪魔をしてくるようになる。すると自分の中でわからない変化が生じて、全然違う自分が発見できるんです。それがまた楽しい。

 これを聞くと、「笑っていいとも」が続いてる訳が分かる気がします。ほんま、タモリって不思議な人やね。人がまさにオチに行こうとしているところに、「目、細いね」って言うてくるんです。タモリって人は受けて答える芸人じゃなくて、相手を俯瞰してもの言う芸人、セオリーを崩して、新たな一面を引き出す。これまでにない形の芸人やね。

 タモリさんのことを「どこがおもろいのん?」という人がいる。でも彼の芸は、いろいろなことをやってきて、頂上まで行って、それを越えてこそできるもの。今はもうレコード出したり、声帯模写したり、ピアノを弾いたりなんてしないから、理解されてないことがある。それを見たら絶対におもろいもん!今の人はもうそれを知らないからソンしてますよね。でも、今回、無学に来たお客さんに実際に見てもらって、その面白さがわかったと思います。これからもタモリさんには、「笑っていいとも」をもっと長く続けて欲しいです。今回はタモリさんに「笑っていいとも」おわりで、すぐに大阪住吉の粉浜まで来ていただきました。もっとゆっくりと話を聞きたかったんですが、すぐに東京に戻らなければならにのはザンネンでした。でもほんま、ええもん見せてもらいました。